第三 見牛
青柳の糸の中なる春の日に
つねはるかなるかとちをぞ見る
ほえけるをしるべにしつゝあら牛の
がげ見るほどに尋ね来にけり
第四 得牛
放さじと思へばいっとゞ心うし
是ぞまことのきづななりけり
とりえても何かと思うあら牛の
つなひくほどに心つよさよ
出典 十牛図 書林 其中堂
第一 尋牛
尋ね行く深山の牛は見えずして
ただ空蝉の聲のみぞする
尋ね入る牛こそ見えね夏山の
梢に蝉の聲ばかりして
第二 見跡
心ざしふかき深山のかひありて
しをりのあとを見るぞ嬉しき
おぼつかな心つくしに尋ぬれば
行衛もしらぬ牛のあとかな
出典 十牛図 書林 其中堂
左が首を傾けた形で、右が印鈕として安定した形。
共に六分角。